経営に必要な資源は明らかに「ヒト」であり、経営者もわかっています。
しかし、日本企業は「ヒト」には投資しません。
なぜなら、「ヒト」という資産は見えにくい資産だからです。
現在は予測不能で大きな転換点にある
- Uberが登場することによってタクシーやレンタカー業界は大きく変わるでしょう。(もう変わっている?)
- AirBnBが登場することによってホテルや旅館業界は大きく変わるでしょう。(もう変わっている?)
- NetFlixが登場することによってレンタルビデオやテレビ業界は大きく変わるでしょう。(もう変わっている?)
- Sportifyが登場することによってレコードやCD業界は大きく変わるでしょう。(もう変わっている?)
- ビットコインが登場することによって銀行などの金融業界は大きく変わるでしょう。(もう変わっている?)
ネットで洋服を買うことが増えているので、楽天やアマゾン、ZOZOTOWNのビジネスが拡大して、百貨店などの店舗は苦戦しています。
今や、ブランドバッグ、スーツ、洋服はネットで買うこともなくレンタルする時代になりました。
「サブスクリプション」ってどういう意味?
サザンオールスターズの「ヨシ子さん」という歌の歌詞に「サブスクリプション、まるでわかんねぇ」って歌ってますが、今はわかっているんでしょう。
購入からレンタル、レンタルはサブスクリプションという名に変わり、消費者は毎月払い・年間払いをして、家や車や家具や絵画や洋服などを資産として保有せずに利用という形態に移行しつつあります。
10年前にはこんなことになるなんて思わなかったと思います。
デパート、アパレルメーカー、家電メーカーなども売るのをやめて貸すことにシフトせざるを得ないかもしれません。
いずれにしても、自社が存在している業界や市場は未来永劫に安定しているわけではなく、意外なところから競争相手が出てきたり、意外な会社が自社の業界や市場を破壊することもあります。
そんな世界のことを「VUCAワールド(ブカワールド)」と言います。
VUCAは4つの単語の略です。
- Volatility(変動性)
- Uncertainty(不確実性)
- Complexity(複雑性)
- Ambiguity(曖昧性)
VUCAはもともと「予測不能な状態」を意味していますが、2016年の世界経済フォーラム(ダボス会議)などで多くのビジネス界の著名人が「VUCAワールド」という言葉を出したことで有名になりました。
「予測不能」というのは今の世の中を本当に表していますよね。
さらに言うなら、これまでと真逆なことが起きつつあると思います。
意外と「これまでと真逆なことが起きる」と考えると、「予測不能」ではなくて予測可能なのかもしれません。
つまり、
従来常識から新常識へ、既存概念から新しい概念へと変革が起きているのです。
例えば、こんな感じで変革が起きています。
- 雇用体系は、正社員・終身雇用からフリーランス・プロジェクト参画型へ
- 転職理由は、給与やキャリアアップから自己実現や成長意欲へ
- モノに対する意識は、所有から利用へ
- 社会原理は、競争や奪い合いから分配へ
- 人間関係は、支配と依存から自立と自律へ
- 情報は閉鎖的・独占的からオープン・共有へ
- 市場は、都会だけではなく地方も重視され
- 思考基準は、損得感情から感動や共感へ
- マーケティングは、競争から共感へ
- 営業は、販売から関係構築へ
- 人材採用は、学歴・資格から人間性・生き様へ
- 採用人材は、単一から多様化へ
- 組織形態は、ピラミッド型からネットワーク型へ
- 報酬は金銭的報酬から意味の報酬へ
- 人間の意識は、不安や不満から安心満足へ
- 仕事の価値観は、お金から生きがいへ
- 仕事のスタイルは、我慢・努力・競争から自己実現・楽しみ・成長へ
- 意思表示は、建前から本音へ
- 企業の開発と投資は、モノとカネから、人・情報へ
- 研修は、人材開発から組織開発へ
VUCAな世界においてどう舵を切る?
ここで、大きな転換があります。
このような社会の変化に対応しますか? それとも、現状を維持しますか?
どの選択が良いとか、悪いとかではないと思います。
ただ、ダーウィンは進化論でこう言っています。
最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。
唯一生き残るのは、変化できる者である。
※実は、ダーウィンは上記のようなことを言っていないとも言われています。
でも、進化論を一般人にもわかるために「変化する者が生き残る」と要約するのは間違いではないようです。
あと、ファーストリテイリング(ユニクロ)の柳井さんはこう言っています。
社会は、ものすごいスピードで変化しています。急速に変化する社会で競争に勝ち、生き残るためには、自ら変わる以外にありません。変化に対して受け身になれば、必ず衰退します。自ら積極的に変化を起こして、自らその機会を活用して成長する。
たぶん、社会の変化に対応する、あるいは社会に変化を起こすことが、企業にとって重要なことなんだと思います。
では、どうすれば、社会の変化に対応する、あるいは社会に変化を起こすことができるのか?
企業の経営資産(経営資源)は、以下の4つです。
- ヒト (人材や組織)
- モノ (商品やサービス)
- カネ (現金・株式・建物・不動産など)
- データ(情報)
これらの4つの資源を生かして、社会の変化に対応する、あるいは社会に変化を起こすわけです。
やはり、経営資産の中で重要なのは人
実は、これらの4つの資源の中で一番重要なのはヒトです。
- 良いモノは、ヒトがいなければ開発できません。
- カネを増やすには、ヒトがいなければ開発できません。
- 良いデータを手に入れるには、ヒトがいなければきません。
つまり、企業の根幹をなす最重要資産は、「ヒト」なのです。
その証拠に、経営者の方々に、企業の4つ(あるいは3つ)の経営資産(経営資源)はなんだと思いますか?と聞くと、大きの人は、以下のように答えます。
ヒト → モノ → カネ
決して、
- モノ→ カネ→ ヒト
- モノ→ ヒト→ カネ
- カネ→ ヒト→ モノ
- カネ→ モノ→ ヒト
のようには答えません。
語呂が良いのかもしれませんが、やはり潜在的に、ヒト → モノ → カネの順番で重要なのだと思っているのだと思います。
しかーし、日本企業は人や組織に対する投資に対してあまり積極的ではありません。
ちなみに、2016年において、日本企業の従業員1人当たりの人材開発にかけた費用は約37,000円ですが、米国では約125,000円で日本の3倍です。
なぜ、日本企業の経営者やリーダーは「ヒト」という資産が大事だと考えているのに、人材開発にお金をかけないのか?
それは、ヒト・モノ・カネのなかでその価値や成長が一番見えずらいからです。
モノ(商品やサービス)は基本的に目に見えるし他社との比較もしやすいです。
お金も基本的には目に見えるし、多い少ないが他と比べてもわかりやすいです。
でも、ヒトの能力や成長の可能性って、基本的には見えにくいのです。
英会話や文章力やプレゼンテーションスキルは知識やスキルなのである程度は見えますが、ヒトのモチベーションや主体性や成長したいという気持ちや仕事に対する想いというのは見えにくいのです。
しかも、他社との比較となるとさらにわからないのです。
これが、大きなポイントなんです!!!
- 他社に真似されないような人材のモチベーションや主体性や成長機会という”見えない資産”をいち早く作り上げて他社に先行するか?
- とりあえず、他社がどのような行動をとるのか観察して、本当にそうなるのか見極めてから行動するか?
今回のポイント
経営に必要な資源は明らかに「ヒト」であり、経営者もわかっています。
しかし、日本企業は「ヒト」には投資しません。
なぜなら、「ヒト」という資産は見えにくい資産だからです。
ここまで読んでくれてサンクイット!!!
サンクイットは、ポストイットからインスパイアされた造語です。ポストイットは「それを貼る」という意味合いなので、サンクイットは「それに感謝する」という意味です。ポストイットのように、相手の心に感謝を貼ろうという意味もあります。